「俺…こんなだしさー
たいしたアドバイスとか
できないと思うけど
話し聞くだけなら…
……相澤さん?」
和野くんは
あたしの背中に向かって
一生懸命語りかけている
それどころじゃない状態の
あたしの背中に…
悩んだあげく
あたしは…
ある決意をして
和野くんの方に向き直った
「あのね…和野くん…
あの…」
ふと…和野くんの
真剣な顔を見ると
急に頭が真っ白になった…
あたし
何…
言おうとしてたんだっけ?
言葉に詰まった
あたしを見て
和野くんは
ゆっくり立ち上がり
ズボンを軽く、はたいた
「ねぇ、相澤さん
ちょっと…
外に出てみない?」
「外…?」
和野くんが
鉄の扉の鍵を開ける
重そうな扉を押すと
あまり開閉されない為か
ギィ…と音をたてながら
ゆっくりと扉が開いた…
風の音が聞こえて
暗かった場所に
光が満ちていく…
「ちょっと寒いけど
とっておきの場所
あるんだ…」
「え…」
和野くんに促されるまま
あたしは屋上に出た
