これって…もしかして…


『わっ!それ…血!?』


りっちゃんの言葉に


果倫ちゃんの体が
ビクッと反応した…


あたしは、興奮気味の
りっちゃんに

落ち着くよう
口パクで伝えてから



再び

果倫ちゃんに目を向けた


「どこか…怪我してるの?
どこか痛む?」



果倫ちゃんは首を振る…


その様子を見た

あたしの頭の中に


何故か突然…昔の記憶が

鮮明によみがえってきた






目の前で泣いている
女の子と…


小学生の頃の自分が…


重なって見える



もしかして…


「生理…?生理がきたの?

…初めての…?」


果倫ちゃんは

泣きじゃくりながら答えた


『わ…かん…な…い…
とま…ら…ないの…』



『そっか…初めての生理で
…怖かったんだね?』


ホッとしたように
ゆりっぺが言った…



「果倫ちゃん
今…お家の人って…
誰もいないのかな?」


頷く果倫ちゃんは
まだ泣いている…


とりあえず…あたし達は

和野くんの家に


上がらせてもらうことに
した…




中に入って玄関を閉めると

あたしは

小さく震える果倫ちゃんを

そっと抱き締めた…


「大丈夫…

もう
泣かなくていいんだよ


今日は、果倫ちゃんの

もうひとつの


お誕生日だからね…」




それは…小学生のあたしが

初潮を迎え


怖くて1人で泣いていた時


仕事から帰って来た
お母さんが


あたしを抱き締めて
言ってくれた事と

同じ言葉…




果倫ちゃん…


お母さんが入院して

ただでさえ
寂しくて不安なのに


ひとりぼっちで迎えた
初潮は

ますます
不安だらけだったよね…?



あたしは


涙を拭いながら…

キョトンとした顔で
見上げる果倫ちゃんに


微笑みかけた…