すると、事の成り行きを見守っていた部長が私の肩を叩いてきた。
部長らしいフォローでも入れてくれるんだろうか。
「真琴、演劇は衣装じゃない、演技だ!
アリスのファンタジー世界に入り込め!」
「いや、これじゃギャグでしょ」
「問題無い。アリスってわりと何でも有りな世界だし」
部長も駄目だ。
だって目が笑ってるもの!!
「何でもじゃないです!
あの作品にはちゃんと世界観というものが存在して」
「あーはいはい分かったから。
もう一度始めからやるよ。結菜、次は笑うなよ」
「はあい」
酷い!いじるだけいじっといて放置!?
着ぐるみほったらかしで練習再開しようとする部員さん達。
……ああ分かったよ。分かりましたよ!
私が着ぐるみやら衣装係曰く懐中時計なんて気にならないくらい素晴らしい白兎を熱演すればいいんでしょう!
「…………ふふっ」
ああ今目が合った途端結菜が笑った!
やっぱり無理だよ!衣装のインパクトがありすぎる!!
「だーーッ!!笑うなぁああ!!!」
「あ、ごめっ……ふふふ」
そんな私達を見て、月江がわざとらしいため息一つ。
「先輩いい加減静かにしてくださいよ」
「誰のせいだと思ってんの!!?」
「あんまり暴れないでくださいよ。ただでさえ見た目危ない人なんですから。
同じ部員として恥ずかしいです」
「つきえぇえええーーーッ!!!」
軽く発狂する勢いで、超他人事の衣装係に向かって叫んだ時。
副部長の杉野先輩が私の名前を呼びながら歩み寄ってくるのが見えた。
「今、大丈夫……」
「だと思うならそのまま用件を続けてください!!」
八つ当たりもいいところだ。
普段なら先輩への態度には気をつける私だけど、とてもそれどころじゃない。
生意気な後輩の神経を叩き直してやらないと!
