太陽の輝く世界

「伊波 諒介

(いなみ りょうすけ)」

「諒…介?」

「あぁ。そっちは?」

「わたしは…」

丁度その時、幹と幹の間から

冷たい風が吹いて。

それに乗った桜の花びらは、

これまでに見てきた中で、

一番綺麗な散り方だった。

いや、いつもと変わらなかった

かもしれないけど、違って

見えた。

でもその理由は、この時の

わたしにはまだ、

分からなかった。