「おー奏!おはよ」

「お、おはよ」


外に出ると同時に渓ちゃんもちょうど家を出ていた

いつもと何ら変わらない…
やっば夢だったのかな?



でも私の手にはまだ…昨日の感覚が残ってる
だからそれだけを望みにして夢じゃないんだって言い聞かせた






「奏、乗ってく?」

「え…いいの?

今日はジャンケンしないの?」







制服のネクタイを締めながら言った
いつもはネクタイなんかしてってないのに

今日は渓ちゃんの学校も終業式だから正装してかないといけないんだって


ネクタイってどうやって締めるんだっけ


なんて言って悪戦苦闘してる姿は



年上とは思えない愛らしさ


なんとか自力でネクタイを締めた後
いつもみたいに私の頭をポンポンってして言った







「ばか奏~彼女に運転させる奴がどこにいんだよ~」











彼女…


やっぱり…夢じゃないよね


昨日は…本当に夢じゃなかったんだよね
私…渓ちゃんの「彼女」になったんだ…




「彼女」っていうフレーズが自分の中で肥大化していく