「やっぱ鈍感だよ…奏は」
そう言って渓ちゃんは自分の方に引き寄せるように
私を抱き締めた
こんなに渓ちゃんが近いのは初めてで
私の大好きな渓ちゃんの匂いがすっごくする
胸のドキドキが…渓ちゃんに聞こえそう
抱き締めながら
またずっと頭を撫でて
静かに言った
「どんな奏でも、俺はずっと奏の事が好きだから」
もう嘘でもよくなって
嬉しくて涙が止まらなかった
渓ちゃんが私の事を好きって言ってくれて
優しく抱き締めてくれて
もう嘘でも夢でも何でもよくなった
「渓ちゃんっ…好き…」
「うん・・・」
「大好きなのっ…」
「うん…」
渓ちゃん…好きだよ
ずっとずっと
渓ちゃんだけが好き
それでもやっぱり
夢なのかも知れない
夢なら
覚めないで