「先、いいよ。」
「そ、そっちこそどうぞ。」
2人の間に長い沈黙が続く。
「じゃあ、俺、先言うよ。」
「う、うん。」
沈黙を破ったのは悠太だった。
「じゃあ。」
「ん?」
「あっちで話そ?」
悠太が甘えるような目で、あたしを見てくるもんだから、勝手にオーケーしてしまう。
「いいよ。別に。」
あたし、この目に弱いな。
この時、そう思った。
「あっ。でも、ののちゃん達は?」
そうだ。ののちゃん達もいたんだ。
「いいよ。後でうまくごまかせば、ね?」
「う、うん・・・・・・。」
まぁ、そりゃそうだけども・・・・・・
そう思っても勝手に体が動いてしまう。
まぁ、いっか。

あたし達は、結構遠くへ来た。
ここは公園?渋谷にこんな所があったんだ。
もうしばらく悠太について行ってみると、1本の大きな紅葉の木の前のベンチに来た。
悠太がそのベンチに座ったからあたしもつられて座る。
「で?話って何?」
「・・・・・・」
「ねぇ?聞いてる?」
「・・・・・・」
「話しないなら戻るよ?」
そう言ってあたしが戻ろうとした瞬間、悠太があたしの手を掴んできた。
「まて。」
「え?」
ビックリして後ろを振り返ると、悠太は真剣な顔をしていた。
悠太のこんな顔見たの、初めてかも・・・・・・。
「実はさ。」
「うん。」
「実は俺、小学校ん時からひなの事、ずっと好きだったんだ・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・え?
今、なんて言った?

『ひなの事、ずっと好きだったんだ』・・・・・・?

アタフタしているあたしを悠太は、そっと抱いた。
「えぇ!?ゆ、悠太ぁ!?」
「・・・・・・」
「悠太ってばぁ。」
「・・・・・・」
「ねぇ、聞いてる?」
「ひなこそ聞いてた?」
「え?何が?」
「ひなの事好きだって事。」
「誰が?」
「ん?俺。」
悠太が少し恥ずかしそうに言う。
「え!?」
悠太があ、あたしの事を!?
「ゆ、悠太が?」
「うん。」
悠太がはにかんで言う。
「俺、マジで本気だから。」
「は、はぁ・・・・・・。」
それだけ言った悠太は何も言わず、どこかへ行ってしまった。