水の神と一緒に、この湖に宿るのよ。あなたが水の神を滅ぼす必要もなくなったわね」
「それを聞いて安心したよ。ああは言ったものの、気乗りがしなかったんだ。アマナはもう、生き物の精気をとらなくてもいいのだろう?」
「ええ、もともとそんな必要はなかったのよ。アマナのまちがいは、自分の遺体を生きていた時のままにとどめようとしたこと。肉体が朽ちても霊魂が滅ぶわけじゃないのに」
「そういうものなのか?」
「そういうものなの。アマナだって、別に死体が起き上がって毎晩さまよっていたわけじゃないのよ」
確かに、ランダーが掘り返した時、棺の上の土は固かったし、あれを押しのけて死体が出てくるとは思えなかった。
ソニアは波打ち際にいるジェイクに目をやった。
「ジェイクのまちがいは、娘の魂を天国へ行かせようとしたことね――どうしてあなたたちの種族は誰も彼も天国とかいう楽園に行きたがるのかしら?」
「地獄に行きたくないからだろう」
ランダーの答えはいたって単純明快だ。
「ベルー族は、どっちにも行かないわ。死んだら土に返る。そして新しい生命の源となって、生まれ変わるの――そのほうがずっと自然だし、ずっといいと思わない?」
「いいか悪いかの問題か? まあ、一度死んでみたらどっちが本当か分かるだろうが」
「あたしはまじめに言っているのに」
「俺だってまじめに言っている」
ジェイクが打ち寄せる波に足をぬらしながら、箱舟を水に浮かべた。
「受け取って、水の神。あなたが愛した乙女を」
ソニアが祈りをささげるかのようにつぶやいた。
「それを聞いて安心したよ。ああは言ったものの、気乗りがしなかったんだ。アマナはもう、生き物の精気をとらなくてもいいのだろう?」
「ええ、もともとそんな必要はなかったのよ。アマナのまちがいは、自分の遺体を生きていた時のままにとどめようとしたこと。肉体が朽ちても霊魂が滅ぶわけじゃないのに」
「そういうものなのか?」
「そういうものなの。アマナだって、別に死体が起き上がって毎晩さまよっていたわけじゃないのよ」
確かに、ランダーが掘り返した時、棺の上の土は固かったし、あれを押しのけて死体が出てくるとは思えなかった。
ソニアは波打ち際にいるジェイクに目をやった。
「ジェイクのまちがいは、娘の魂を天国へ行かせようとしたことね――どうしてあなたたちの種族は誰も彼も天国とかいう楽園に行きたがるのかしら?」
「地獄に行きたくないからだろう」
ランダーの答えはいたって単純明快だ。
「ベルー族は、どっちにも行かないわ。死んだら土に返る。そして新しい生命の源となって、生まれ変わるの――そのほうがずっと自然だし、ずっといいと思わない?」
「いいか悪いかの問題か? まあ、一度死んでみたらどっちが本当か分かるだろうが」
「あたしはまじめに言っているのに」
「俺だってまじめに言っている」
ジェイクが打ち寄せる波に足をぬらしながら、箱舟を水に浮かべた。
「受け取って、水の神。あなたが愛した乙女を」
ソニアが祈りをささげるかのようにつぶやいた。

