「もしくは丘の寺院の司祭がなんとかするだろう」
「彼らに解決なんかできないわ! ランダーだって分かっているくせに」
ランダーはため息をついて空を仰ぐと、小さな子供に説明するようにはっきりした口調で言った。
「いいか、ソニア。精霊の事を気にするのはいいだろう。お前達一族の神なのだから。だが、他の事にまで首をつっこむな。俺の仕事は魔物退治ではない。お前を無事にユース城邑まで送り届ける事なんだ」
「でも、他の精霊かもしれない。古い大木とか、大きな岩にも宿っているのよ」
ソニアはなおも食い下がったが、ランダーは首を横に振った。
「それらしい物はなかったはずだ。おおかた、思いを残して死んだ奴でもいるのだろう。そういう魂を鎮めるは寺院の領分だ。俺に残っている仕事があるとすれば、ここの精霊を望みどおりに打ち殺すことくらいのものだ」
「よくぞ言ってくれた」
さざなみのごとき声が言った。
「我をこのままにして旅立つのかと心配しておったぞ」
波打ち際の水が上へとのぼり、湖の精霊は姿をあらわした。
「赤い荒鷲よ、約束だ我を打ち殺してくれ」
「本当にそれでいいのか?」
ランダーの口調はいかにも気乗りしないというようだった。
「よいのだ」
精霊はランダー達の方に向かって歩いてきた。
「何よりも愛した乙女もなく、もはやベルーが湖のまわりで野鹿を狩ることもない。我を神と呼ぶ者もない。このままいても、魔力を失って水に返るか、魔物になるかが関の山だ」
「いいだろう、それが真の望みなら」
ランダーはゆっくりと立ちあがると、長剣を抜いた。
「彼らに解決なんかできないわ! ランダーだって分かっているくせに」
ランダーはため息をついて空を仰ぐと、小さな子供に説明するようにはっきりした口調で言った。
「いいか、ソニア。精霊の事を気にするのはいいだろう。お前達一族の神なのだから。だが、他の事にまで首をつっこむな。俺の仕事は魔物退治ではない。お前を無事にユース城邑まで送り届ける事なんだ」
「でも、他の精霊かもしれない。古い大木とか、大きな岩にも宿っているのよ」
ソニアはなおも食い下がったが、ランダーは首を横に振った。
「それらしい物はなかったはずだ。おおかた、思いを残して死んだ奴でもいるのだろう。そういう魂を鎮めるは寺院の領分だ。俺に残っている仕事があるとすれば、ここの精霊を望みどおりに打ち殺すことくらいのものだ」
「よくぞ言ってくれた」
さざなみのごとき声が言った。
「我をこのままにして旅立つのかと心配しておったぞ」
波打ち際の水が上へとのぼり、湖の精霊は姿をあらわした。
「赤い荒鷲よ、約束だ我を打ち殺してくれ」
「本当にそれでいいのか?」
ランダーの口調はいかにも気乗りしないというようだった。
「よいのだ」
精霊はランダー達の方に向かって歩いてきた。
「何よりも愛した乙女もなく、もはやベルーが湖のまわりで野鹿を狩ることもない。我を神と呼ぶ者もない。このままいても、魔力を失って水に返るか、魔物になるかが関の山だ」
「いいだろう、それが真の望みなら」
ランダーはゆっくりと立ちあがると、長剣を抜いた。

