満員電車の君

「ずっと、見てたんだ、香織ちゃんのこと。

始めは、可愛らしい女の子だなって、思ってた。気が付けば、いつも同じ電車にいるから、毎朝、君に会うのが楽しみでさ…!

君が、走って2両目に乗り込むのを窓から見ていたんだよ。“あぁ、今日も君に会えた”って!

満員電車の中で、苦痛な表情をする君と、席を替わってあげたかった……ごめんね。」 



思いっきり、首を横に振った。 



ずっと、見ていてくれたなんて……。



ずっと、私のことを気にしてくれていたなんて……。



――信じられない。