満員電車の君

彼の顔をちゃんと見なきゃ……



どうして、私の名前を知っているのか、聞かなきゃ……



と、思うのだけれど――




恥ずかしさと……なんだろう?



躊躇いとこのもどかしさとで、何も聞けなかった。




「香織ちゃん……」 



もう一度、彼に名前を呼ばれた。