同じ沿線とはいえ、一度も降り立ったことのない駅。 


大胆なことをしている自分に少し驚きながらも、気持ちは、一点に集中していた。 



――そう、あの人の後ろ姿に…。 



初めて見るあの人の後ろ姿は


男の人らしい、大きな背中だった。 



他の人より、頭一つ分だけ大きい彼を探すのは、容易なことだった。