「亜希都様はお優しいですね」


 ナルは親指で私の瞳を拭ってくれた。


 「捨てられた猫を拾って育てるのは…そん
な過去を恭様がお持ちだからです。自分と重
ねているんですよ」


 私も涙が溢れるくらいわかった。
 恭の辛い気持ちが……


 でも彼女でもない私には何もしてあげられ
 ない。



 「……でも…私は…!?」


 「…気まぐれにしか見えませんが…恭様は
 あなたを愛してます」