「おい、木崎」


「…はい…」


「相変わらず薄汚ねぇな」


あはは、と笑うクラスメイト。全員口を大きく開けて下品に笑ってる。薄汚いのはどっちだ。あの男何て奥歯の汚れが目立ってるぞ。良く歯を磨け。



「ゴミ!聞こえてるのかよ!」


うるせー淫乱女。お前が援交してるって事全校生徒とお前の近所にバラすぞ。



「何とか言えよ」


「……」



言った所でどうにかなる訳では無い。無駄な事はしない主義だからね。…でもそろそろ限界だったり。



「むかつくぅ。その耳と口はお飾りですかぁ?」


むかつくのはお前だろ。何だその口調。もっとしゃきっと喋れないのか?苛々するわ。



「何だよその顔」


おっといけない。感情が表情に出ていたらしい。



「本当むかつく」

そう言うとあの奥歯の汚れが目立つ男が私の足を蹴った。遠慮何て無しに蹴るもんだから、私は壁に飛ばされて背中を思い切り打った。


「生きてる価値無いわ」

次はあの淫乱女。平手打ちをしてきやがった。眼鏡が飛んじまったじゃねぇか馬鹿野郎。あの眼鏡高いんだぞ。この際援交した金でも良いから弁償しろや。


「死んでも良いんだよぉ?」

そう言って髪の毛を強く引っ張った。取り敢えずてめーは黙ってろ。


仏の顔も三度まで。私三回我慢したからもう良いよね。



「黙ってばっ」

「うるせーよ。お前さっきから話す度に奥歯の汚れが目立って気色悪いんだよ。歯もろくに磨けないのか?薄汚いのはどっちだ。それとお前。援交してる奴にゴミとか言われたくねーよ。自分の体売ってまで金欲しがる何て本当ゴミだな、ついでに眼鏡弁償しろ。後お前な、さっきから話し方うざい。もう話さなくて良いよ。何なら死んでくれても構わない」

普段喋るどころか口を開きもしない私が饒舌になった事で、周りは唖然としている。視線が痛い。いやもう慣れてるけどね。

それでも何だか見られてる事が嫌で、私は鞄を持って教室から出て行った。…あ、援交してる事言っちゃった。









おしまい