思いを言葉にしようとして、けれど僕の特に自慢にならない小さな脳を打ち破るくらいに、思いはどんどんどんどん、生まれていった。鋭く、詩という飾る表現もない野生の文字の羅列一つ一つは、尖った丸みのない痛いその角で僕の脳を中から刺激してくる。それがまるで流星群みたいに途切れることなくやってくるから、僕の脳では文章にすることはおろか、言葉に組み立て直すことさえもできない。口にだしたい。喉を伝って、舌先で繰って、口にだしたい、誰かにきいてもらいたい。それが不安なのか喜びなのか、不安定な高校生という青春時代に埋もれる僕には、情緒の揺れの真意がつかめなかった。思春期なんてとうに過ぎたかと思っていたけれど、高校生なんてのは、中学生となんら変わらない。見た目が図々しく大きくなっただけで、何にも変わりはしない。前進も後退も、僕には感じられないのだ。どういったって、僕はまだ子供で、思春期で、まだまだ人間としての弱い薄皮を被ってる。何にもやりたくなくなって、どてん、とベッドの上に大の字になって、思いの乱流を受け止める。痛い痛いと思いながら、はけ口は見つからず、けれど受け止めるしかない。時々、全てを投げ出したくなるのは思春期の特徴だと僕は思う。自分の立場に納得なんかしていないんだ。自分はここにいるはずじゃなかった、自分はもっとできる、なんだってできる、自分は、平凡な人間じゃないんだ、現実逃避の痛みが乱流を生む。僕のやる気を削ぐ。末来があるからいけないんだ。先がみえないから、こうして変な確信をもってしまうんだ。末来なんてなければいい、それに課せられた期待やら何やら全部、なくなってしまえばいいんだ。「末来って、なんだろう」やっと吐き出せた言葉がそれだった。傍にいた彼女が僕の思考と子供染みた阿呆らしさを全部見抜いた顔で、返事をした。「あなたはできる子よ、大丈夫って、慰めてほしいの?」いいや、僕は現実に優しさなんて期待しない。現実は一瞬で過去になり、やがて僕を悩ませる末来を連れてくるのだから。「違うよ」見栄を張るのもきっと、思春期の特徴なのだろう。