…それから。色々と悪戦苦闘して、…やっと、たどり着いた。
苺華山学園の入口ー。
「…す…っごい…!!」
見た瞬間、そんな言葉が口をついた。
目の前にそびえたつ巨大な門扉。急に現れたのかと思うほど大きい。その大きさは、なぜ今まで気付かなかったのか不思議に思えるくらいだ。
目につくのは模様。蝶のような形が印象的で、細部にまでこだわった装飾、黒を基調とした扉が素敵だった。閉じた門は、神聖さのようなものをまとっている。
あまりの驚きに、花はしばらく身動きがとれなかった。
「すごい…ね…!ここが入口…?」
「はいです。ここを通れば学園はもうすぐそこですよ」
沙雪の話によると、ここはほんの入口で、学園にたどりつくには次にある正門を抜けなければならないらしかった。
そうなんだ…、と相槌をうって。
花は、まるで確かめでもするように、扉に手を置いた。
そして、
「…。苺華山学園って、…守られてるのね、この門に。」
ぽつりと呟いた一言。
それを聞いて、沙雪の表情がわずかに変わったことに、彼女は気付かなかった。

