世界一小さい恋

「一生・・・帰ってこないの?」

必死で涙をこらえた。

けど、こらえることもできなかった。

必死でこらえた大量の涙は大きな粒で私の頬を伝っていった。

市川くんはあわててハンカチを私に渡した。

一度手にとった市川くんのハンカチを、無意識に落としていた。

そして自然とでた言葉は

「市川くんと両想いにならないほうがよかったみたいだね。やっぱ一生あえないのは、耐えられないよ・・・。少しの時間だけどありがとう・・・。」

ありがとうその一言と市川くんを保健室にのこし、出て行った。

廊下を走って美香のいる教室に行った。

一時間目が終わって、休み時間になっていた。

ドアを開けようとすると、ちょうど美香が出てきてぶつかった。

「ゆま・・・?!いないと思ったら・・・って泣いてる?!」

あわてて美香は、私を空き教室に連れて行ってくれた。

さっきあったすべてのコトを、美香に話した。

美香はすべてだまって聞いてくれた。

「ゆま・・・。つらかったね。けど、今一番つらいのは、市川なんじゃないかな。だって、ゆまのコトを信じて本当の気持ち打ち明けてくれたんだよ?なのに、こんなんじゃかわいそうじゃない?」

美香の言ったコトは、すべて本当のコトだったけど、今の私にはうけとめられない現実でしかなかった。

「・・・・・美香・・・・・今は・・・今だけは、自分の気持ちに嘘をついてもいいかな・・・。今は、現実を見るのがつらいの。市川くんには悪いけど・・・私・・・。」

「そっか、そうだよね、フランスだもんね。おちついてから考えなおしなよ。早くしないと市川いっちゃうでしょ?後で後悔するのだけは絶対にゆるさないからね!」

やっぱり、美香は私のことを考えてくれる。