世界一小さい恋

「そうだよ。俺も笹川が好きだ・・・。」

照れながら小さな声で、そういった市川くんは世界一かわいく思えた。

これで、私たちは両想いになった。

これは、嬉しいことでもあって、悲しいことでもあった。

「でも、笹川。言わなきゃいけないことがある。俺、高校に行ったら、フランスで親の仕事を手伝いに行くんだ。だから、遠距離になる。それでもいいのか?」

遠くなる。市川くんと私の距離。

けど、それでもいいと思った。

好きだから。大好きだからそれでも良かった。

そのときだけは・・・。

「うん・・・。けど、もうあと少ししかないよね・・・」

「あぁ・・・うん。けどその分今のうちにいっぱい想いで作ろうな!!」

でも、いつか帰ってくるのかなぁ。

「ねぇ、市川くん、フランスからいつ帰ってくるの?」

・・・・・・・・・。

市川くんは黙って下を向いていた。

なんとなく、やばい予感がしていた。

すると、市川くんは重い口を開き・・・

「もしかしたら・・・もしかしたらだけど、一生帰ってこれないかもしれない。」

一生・・・。

一生・・・・・・・・・。

帰ってこない。

市川くんにもう二度と会えないかもしれないんだ。