市川くんの隣の席。

ここは私がいてもいいところなのかなぁ。

市川くんの隣にいるのが私でいいのかなぁ。

「笹川?ボーっとしてたけど・・・具合悪い?」

「あっううん。ちょっと考え事。」

映画が始まった。

市川くんがみたかった映画。

それは、前、私が友達に見たいといっていた映画。

市川くん。聞いててくれたんだ。

やっぱ優しいなぁ・・・。

コメディ系で泣けるところもある。

まぁ、感動系でもあるかな・・・。

でも、市川くんが隣にすわっているから、映画に集中なんてできるはずがない。

ずぅっとこのままで入れたらいいのになぁ・・・。

なんて、無理に決まっている。

見たかった映画なのに、私は市川くんしか見えなかった。

というより、市川くんを見ていたかった。

地味子は地味子なりに・・・。

いつも、そう自分にいいきかせていた私も今だけは夢を見ていたかった。