「プリント置いていって逃げたろうかっつーの」 寂しく一人でぼそぼそ呟いていると、 「何やってんのー?」 教室のドアから覗いている彼がそう言った。 「えぇっと…」 しどろもどろの私にお構いなしにこちらへ近づいてくる。 それに比例して顔が赤くなるウチ。 「英語のプリント?」 「はっ、はい…」 実はこの人、ウチの近所の先輩だったりする。 名前は高倉 奏(たかくらかなで)。 ウチにとって奏先輩は憧れであり、ひそかに思いを寄せている相手でもある。