文哉は珍しくうなだれていた。
 めったにこんな弱ってるところ見せてくれないのに。
 あたしは急に彼が愛しくてたまらなくなった。



 「ひどいこと言ったし、最低なことした。ほんとにごめん。唯、悪くねえのに母親のこと思い出して、たくさん責めてほんとにごめんな」





 ギュッ


 初めて文哉に抱きしめられた。




 「一番守りたいもの、守れなかった」




 鼓動が速くなる。

 そんなこと言われたら・・・期待してしまう・・・






 「ムリに彼女のフリさせてごめん」





 「いいよ・・・あたし、



 文哉のことずっと好きだから」


 やっと言えた言葉。素直になれた瞬間だった。