「……なんでいんの」
私の目の前には、幼なじみの亮の姿があった。
亮とは中学までずっと一緒のクラスで、所謂腐れ縁ってヤツだ。高校は亮いわく「お前と俺とは頭の出来が違う」らしく、亮は楽々と県の一番高へ入学した。それから家が近いのにずっと会っていなくて、メールや電話での連絡のみ。会うのは春ぶりになる。
「とりあえずなんで泣いてんの」
「……いいじゃん別に。あんたに、は、関係無、い」
「あーほらまた。とりあえずうち上がれよ。もうすぐだし」
「いや、いーよ別に。迷惑かけちゃう」
「いいって。何今更言ってんだよ。今日親いねーから長居できるぜ。ま、親いても長居できるけど」
亮はなんか馬鹿みてー、とくつくつ笑った。なんだこいつ。なんで笑ってんだよ。でもそれに不思議と安堵感を覚えた私は亮の家にあがらせてもらうことにした。

