「私……帰る」 小さく呟いてゆらゆらと歩きながら亮の家を出た。状況は理解できていたのに、やっぱり今考えれば夢なんじゃないかって、唇が触れたのは、嘘なんじゃないかって。だって亮は嘘が得意だ。もしかしたらあの告白も、キスも、全部嘘なのかもしれない。私をからかっているのかもしれない。でもさっきの亮の表情を思い出せば、嘘なんかじゃないって分かってしまった。