「あのね、昨日ね、私の幼なじみの亮に会ってー……」 自分が泣いたこととか、広瀬君の話をしたとか、そういうのは言わずに、ただ亮と昔の話で盛り上がったとか、亮に好きな人がいるとか、突然家を追い出されたとか。広瀬君にとっては「ふーん」とか「へー」とかそれくらいの話を私は早口でしてみせた。「おかしいよね、追い出すなんて。そう思わない?」さっきからずっと見ていなかった彼の顔を見ると、実につまらなさそうな顔をしていた。