でも広瀬君には好きな人がいる。違うクラス、の。教室から美化委員会が開かれる理科室までの長い道のりを友達と会話しながらこんなことを考えていた。
理科室に着くと広瀬君が「おはよ」と話しかけてきた。「おはよう」「朝から委員会なんてラッキーだよな。寝れる」「え、寝るの?」「んー、岡部が寝ないでって言うなら寝ない」「え、」なんてことを言うんだ。一瞬固まった口をなんとかこじ開けて「寝ないで」と私は言った。うわ、すごく恥ずかしい。すると広瀬君は「口ぱくぱくしすぎ」と笑った。「嘘だよ。寝ねーよ」「なんでそんな嘘つくの」「岡部面白いから」「ええ?!って人で遊ぶな!」「はは、ごめんごめん。」
そして、ぷつり。会話が途切れる音がした。

