そういえば亮は昔から嘘が上手な奴だった。その分下手な嘘をつくとバレやすい。でも、中学の卒業式なんて彼にとっては最高傑作で、騙された側の私にとっては一番悲惨だった。別れ際、皆泣いている中彼が「おい!お前足元に蛇いるぞ」と私に言ってきた。私は悲鳴をあげて飛び跳ねながら違う意味で泣き叫んだっけ。それが実は嘘だって言われた時に、もうどれだけ叩いても叩ききれなかったくらい。でも見ると、彼の目も赤くなっていて、ああ、こんな奴も泣いたんだなあ、と思えばまた涙が溢れてきた。今思えばそれは亮なりの泣き顔隠しだったのかもしれない。昔から調子のいい奴だし。そのことを今そいつに話したら「んな昔の話を今更さあ……!」となんだか言いたそうで、でも恥ずかしそうに俯いてみせた。

