広い庭の奥、1人泣いていた。



「ひっく…痛いよぉ……」


泣いてもこの声を誰かが聞きつけてくれるとは思ってなかった。


日が暮れる頃には誰かが探しに来るだろう。だから泣いちゃだめだ。



そう言って自分を励ましていたが、限界だったのだ。



人の気配のない庭、挫いて動かない足。


寂しさや痛さが、それからいらだちなどが入り混ざった感情を、当時5歳だった私には「泣く」ことで外に出すしか方法を知らなかったのだ。







「誰か…きてよぉっ……」