「妾も言い伝えでしか聞いてはおらぬゆえ、半信半疑ではあった。
だがこれであの御方の復活に、一歩また近づけるというものだ。
そのために利用できるものは利用し、努力も惜しまぬ」

「そう言っているわりには、『精霊に選ばれし者』に術を施し、更には刺客を差し向けたんじゃないのか?
お前の目的は、最初に扉へ入らねば為すことができないはずだろう。
なのに『鍵』を先に壊すつもりか」

「刺客? 何のことだ」

「……何?」

逆に問い掛けられ、ゼリューは一瞬戸惑いの表情を見せた。

「あの術は妾のさじ加減で、どうとでもなる。それは貴様とて知っておろう。
それに『精霊に選ばれし者』は、まだ完全には目覚めておらぬようだ。
『鍵』となるには、多少の時間も必要だろう。
アレらが完全に揃うまでは、まだ生かしておくつもりだ」

(まさか……本当に知らない?)