それからものの10分も経たないうちに、その作業は終わった。

後半は何だか多少自棄気味で選んでいたような気もするが、ようやくこれで先へと進めるだろう。

だがその前に。

「ねえ、そろそろお腹が空かない?」

「ああ、もうそんな時間か」

軒先へ出たディーンが、やや傾きかけた陽へ顔を向けながら呟いた。

昨日は曇り空で風も強く、かなり肌寒かったのだが、今日は天気が良いのでいくらか暖かく感じられた。

次に向かうフィオス町へは、ほんの1〜2時間程度で到着できるらしい。

だから今から食事をしたとしても、夕方頃には辿り着けるくらいの時間だ。

「おおっ、それならばっ!」

アレックスが例によって得意げに胸を反らすと、ぽむっと両手を打った。

「良い店を知っているぞ。
この前ルティナや君たちと一緒に入った店なんだが」

「駄目だめダメッ、絶対却下っ!!!」

「いくらアレックスさんといえども〜僕もそのお店だけは〜ご遠慮致します〜」

空気の澄んだ冬空のもと。

私とエドの慌てた声が、一斉に響き渡っていた。