―――――ッいや!
だがっ。しかしッ!!



私は直ぐに思い直した。

自ら『そのこと』を言いさえしなければ、絶対に彼女にはバレたりしないはず!!!

アレックスもその時のことを憶えていないと言うし、証拠もない。

このままアレックスに罪をなすり……いやいやいや、これ以上のことは、私の口からは何も言うまい。

元はといえば、彼が宝剣を盗んだことが発端だ。

それに話を聞けばアレックスは、このような事態には大分慣れていると言うし。

だからこのまま口を閉ざしてさえいれば、被害は最小限(アレックスだけ)に食い止められるはずだ。

これから会いに行く私に、とばっちりが向くことはないだろう。

そして全てが丸く収まるはずッ!





―――――多分。



私が固くそう決意している間にも、アレックスは真剣な表情で黙々と剣を選別していた。

先程とは比べものにならないほどの集中力だった。

ディーンがいつもの調子で使った、『口先だけでアレックスを丸め込む作戦』が効いているようだ。