ゼロクエスト ~第2部 異なる者

「恐らくあんたは『人間に対しての術攻撃ができない』のではないかと思う」



ルティナはそう言うと、私を真っ直ぐに見詰めてきた。

「魔物に対しては何ら問題なく攻撃できるが、人間へ意図的に攻撃しようとすると、まともな攻撃(もの)を出せなくなる。
この前あんたたちが魔物に襲われた時、奴らは人間の容姿をしていただろう?」

「! あ」

そういえば――ここでようやく思い出した。



私が術を出せなかったのは、街中で魔物に襲われた時だ。

あの時には最初から人間に化けていたから、私は完全に彼らが人間だと思い込んでいた。

しかし討伐隊へ参加した2回目。

エドと襲われた時には、既に彼が魔物だと知っていた。

だからその時には通常通りの攻撃をすることができた、ということなのだろうか。



「あたしが以前聞いた話によると、これは武器を使用することのない精霊術士が、最も陥りやすい症状らしいな。
そこにはどうやら、精神的な問題も絡んでくるようだ」

「精神的な問題?」

「例えば、人間に攻撃することへの異常なまでの恐怖心や、過去のトラウマなど……まあ、そのようなものだな」

「異常な恐怖心……トラウマ」

私は故郷にいた頃のことを回想しつつ、しばらく考え込んでみた。