もしかしたらそこへアレックス本人と、装備している防具や剣の重量などが加われば、先程よりは多少抵抗できるのではないかと思ったのだ。

実際、彼自身も力を入れ、地面で支えてくれている。それが背中からも伝わってきていた。


ここまで来れば、種は直ぐそこにある。


私にかけられている防御術は、殆ど見えなくなっていた。

瘴気も徐々にこちらを侵食しつつあった。

あとは私がまだ正気を保っていられる間に、短剣を突き刺すだけ。





―――が。





下から突き上げるように吹いてくる、強い熱風。

それが目の前で腕にぶつかると、弾け飛んだ。

持っていた短剣が弧を描くように上空へ飛んでいく様が、私の目にはハッキリと映っていた。



目の前が瞬間的に真っ白になる。



足のつま先から身体の芯までが、一気に冷えていく。