『俺が中和して、影響力を一時的に防いでいる。が、およそ3時間程度の効力しかない』
3時間――。
正確な時間は計っていないので分からないが、あれから大分時間は過ぎているはずだ。
そろそろ術効力が切れてしまっても、不思議ではない。
どちらにせよ私の時間も、あと僅かしかないのだ。
「ここまで来たら、やるしかないって言うことよね」
奥歯をギリリと強く噛みしめた私は、改めて球体のほうへ顔を向けた。
こうなったら助走距離を伸ばし、一気に中へ突進していくしかない。
私は決意を込めて立ち上がると、先程よりも距離を置いた状態で剣を持って身構える。
そして自分の中では全速力だと思われる速度で、そこへ向かって走り出した。
目標物が見えてきた。
だがその側まで来た時、下から伸びる大きな手が、否応なしにさらっていく。
私は抵抗する間もなく、またもやはじき出されていた。
しかし。
「……あれ?」
私はまだ倒れてはいなかった。
背中にあるのはいつもの無機質な、堅い地面の感触ではない。
堅いものではあるが、でも何故かそこには温もりと柔らかさを感じさせる。
それに私を包み込むようなこれは――。
「! アレックス!?」
背後にいたのは彼だった。



