ゼロクエスト ~第2部 異なる者




黒い風のようなものが吹き荒れていた。

中心にある種が高温だというから、近付くことさえできないほどの熱さなのかと思っていた。

しかし実際に入ってみると、生ぬるい風が吹いているだけである。

想像していたような、強烈な臭いも感じられない。

とはいえ、気持ちの悪いことに変わりはなかった。

生暖かい上に粘り気のある風圧が、直に肌へ当たっている。

毛穴という毛穴にぺたぺたと貼りついては、隙あらば侵入しようとしているかのようだ。

ゼリューの術によって瘴気を防いでいるはずだが、全身に鳥肌が立つくらいの気持ちの悪さである。

本当にこの術は瘴気のみを遮断するだけで、その感覚までを防ぐことはできないらしい。

だが例え気持ちが悪くても、それは我慢をすれば良いだけだ。近付くことが可能ならば、何も問題はない。



『瘴霊の種』の鈍い輝きは、入り口付近からほど近い場所に見えていた。

距離はそれほど遠くない。

あれを破壊するだけだ。