『もしこれが外へ出た時に、周辺にいる下位クラスの魔物を取り込み続けてしまったなら、被害はこの付近だけでは済まなくなるだろう』



彼の言葉を思い出していた。

私は地面を踏みしめるように歩き出す。

が。

何者かに左足を捕まれ、勢いよく顔面から倒れ込んでしまった。

私は擦り剥けた鼻の頭を押さえると、衝撃で涙の滲んでしまった瞳を後ろへ向けた。

そこにはアレックスがいた。

俯せの状態で、私の足首を掴んでいる。

「君は……何処へ……」

彼は荒い呼吸を繰り返し、血の気の失せた顔には大量の汗も流していた。

しかし起こした碧瞳は、私を真っ直ぐに捉えている。



「私は」

その瞳に答える。

「私はみんなを助けに行く」