このままでは霧が留まり続け、街道の通行止めも当分解除になることがないだろう。

私はこの先へ行かねばならないのだ。

目的も当然あり、ここで足止めをされるわけにはいかなかった。

各社を巡る旅――巡礼の旅を、無事に果たさなくてはならない。それが父との最初の約束でもある。

もし今の状態を打開できる方法がある、というのであれば――アレックスのように「自分が皆を救う!」などと、大それたことを言うつもりもなかったが――。



「そういえば、あなたの名前をまだ、訊いていなかったわね。
私はエリス。エリス・フルーラよ」

「俺は……ゼリューだ」

「なら、ゼリュー。あなたの依頼、引き受けるわ」

ここで決めなかったら女が廃(すた)るというもの。

例え私の手が1本や2本無くなったとしても、世間にしてみれば、ほんの些細なことだ。

よし、やってやろうじゃないのっ!