「この刻印がどんな術なのか、私は知りたいの。
『精霊の加護』には、魔物からの術が効かないって話よね。
なのに私たちは、この刻印をつけられたわ」

コレは本物の『精霊の加護』保持者である、アレックスにまで付けられていたのだ。

それ以外での魔物の術攻撃は、特殊能力によって防御している。

その場面を何度も見てきた私には、一番の疑問点だ。

「それにまだ発動もしていないし、未だに何も起こらないのもおかしいし……だからあなたに、このことを尋ねたくて」

私が腕を強く前へ押し出すようにして見せると、魔物はそれをじっと見詰めた。

「これは……この紋様は、君だけが付けられたのか?」

「え?」

私が答えようと口を開いた時、間近で破裂音が鳴った。

魔物は直ぐに舌打ちをすると、顔を前に向ける。

霧の球が先程よりも、大きく膨れ上がってきた。

「……やはりここは君に、手伝ってもらうしかないな」

「へ……えぇぇっ!??」

目の前の状況を全く飲み込めない私は、その場で戸惑うしかなかった。