その終着点。

敵は薙ぎ倒されている木々の間にいるはずだが、ここからでは遠すぎてその姿が見えない。

手応えはあった。

土手っ腹に風穴を開けたのも確認している。

だが僅かであるが、急所が逸れてしまった。恐らくまだ生きている。

中位クラスであれば体内に宿る精霊力を使い、何れ自己回復をするはずだ。

しかし今は動く気配はない。

当分の間、起き上がることのできないダメージは、受けているだろう。

だがトドメを刺す気にはなれなかった。

こちらもまだそれだけの回復をしていない。

それに今のあたしの目的は、目先の魔物を倒すことでもない。

「ルティナさん……今のは……」

しばらくして掠れるような声に振り向けば、二人が驚愕の表情を浮かべ、呆然とこちらを凝視しているところだった。

「ルティナさんの片方の眼――紅い……」

(! やはり、見られていたか)

あたしはその場でしばらく動かなかった。二人もそれ以上、口を開いてはこない。

予想通りの反応。このような状況には、昔から慣れている。

ようやく力の戻りつつあったあたしは、深く息を整えると、ややしてからゆっくりと身を起こし始めた。

そして――。



「あたしの身体は半人半魔。
……半分、魔物の血が流れているのさ」

彼らが口を開く前に、あたしは自ら告白していた。