「僕がエリスさんに〜アブソープライフをかけられれば〜良いのですが〜」

「あれは! アレックスにしか効かないものでしょうがっ!」

疲れているせいで、語気を強めて返答してしまった。しかしエドは特に気を悪くした様子でもなく、相変わらずのんびりと旋律を奏でていた。

彼は戦闘に参加していないとはいえ、私と一緒に敵から逃げ回っているのだ。そんな状況下で、よく落ち着いていられるものだと、こちらが逆に感心してしまう。

「ですが最近の僕の術〜エリスさんたちにも少しは〜効いていると思うのですが〜。
この前ディーンさんに〜僕の腕が少しずつですが〜上がってきていると言われたんですよ〜」

「けど、直ぐに寝ちゃうでしょ」

「そうなのです〜。僕もまだまだ修行が足りなくて〜……」

と、何故かエドは空を仰ぎ見ながら呑気に言いかけたのだが、その瞬間、いきなり私を突き飛ばしてきた。

当然前に倒れる私。大量に落ちている落ち葉の中に思わず、頭を突っ込んでいた。