「本体のほうは〜多少抉れてしまいましたが〜弦が無事で良かったです〜。
コレ張り直して調整するのに〜多少時間がかかるんですよ〜。
危うく皆さんと一緒に〜モンスター・ミストを〜見に行けなくなるところでした〜」

「見に行くって…」

見物するために向かうわけではないのだが。それにナイフが弦のほうに刺さった場合、エドは確実に死んでいたはずだ。

「ですが本体は〜そのうち修理に出さないと〜いけないですけどね〜」と、エドが呑気な歌声で唄っていた時、人混みの中から私たちを呼ぶ声が聞こえてきた。

「君たち。遅くなってしまったが、もう登録は済ませてきたから安心するのだっ!」

アレックスは私たちに近付いて来るや否や、闘志を燃やしながら力強く拳を前へ突き出した。

その様子から、彼がギルドへ入っていった理由を確信した。

「登録って、まさか」

「うむ。無論、討伐隊への参加申請だ」

彼らがギルドへ入った時点で、何となく予想していたことではあったのだが。

「ちょっとルティナ、どういうことよ。
モンスター・ミストを破るだけなのに、何で討伐隊へ参加しなくちゃならないのよ!」

遅れてやって来た彼女に、私は食って掛かる。