思わずだった。 気がついたら、夏美を優しく抱きしめていた。 夏美の吐息が小さくかかる。 「…か、おり…?」 思う。 俺は夏美を、幸せにすることはできるんだろうか。 きっと玲なら、夏美を笑顔に、幸せにできるだろう。 俺は――― きっと夏美を悲しませる。 「……はなれないよ」 「…!」 夏美…? 「あたしは、香の側に、ずっと 居たいもん」 「―――」