「ああ…。行けなくなったみたいだから、全然平気だよ」 夏美は白く綺麗な両手を揺らし、あわてて安心させようとした。 優しく、素直。 天使と置き換えることができるくらいだ。 「なら良いんですけど…」 思わず誘ってしまったカフェ…。 夏美はココア、俺はカルピスのジュースである。 そのカルピスのコップの氷が、カランと音をたてた。 思えば、俺は夏美をあまり知らない。