「あの…宮下くんって、結構モテるでしょ?」
何を言うかと思えば。
名前のわからない花に水をやりながら、俺は予想外の質問に答える。
「1週間に1回は…告られるかな」
「やっぱり。カッコイイもん」
柔らかく、夏美は笑った。
俺の手からホースを奪い、はにかみながら水かけを交代する
「夏美さんもモテるでしょ」
「夏美で良いよ。 全然モテないよー。恋なんてしたことないし」
夏美の手から注がれる水を浴びて、不思議と花が嬉しそうに見えた。
「俺も、恋愛なんてしたことない」
夏美を、意識する。
何となくだったけれど、ホースを握る夏美の手を奪いたくなって
「―――み、」
奪った。
ホースから放出される水が暴れて、目の前に虹が出来る。