佐藤綾人くん。


彼はいわゆるイケメンに俗する人だ。


整った顔立ちとすらりとした体格。


そして彼が人気者である1番理由は、


「・・・ごめんね佐藤くん。日直なんて大変なのに。」

「いやいや。崎原はそれを1人でやってたんでしょ?俺はちょっと黒板消しただけだし。」



・・・この性格にあると思う。


彼は、誰にでも優しい。


しかもさらっと親切をやってのける。



きっと本人は、親切をやっているなんて自覚はないんだろう。


「・・・あとは戸締まりだけだから、もう大丈夫だよ。ありがとね佐藤くん。」


「ん。」


バタバタバタバタ・・・。




バンッ!!


「・・・!!」


急に教室のドアが勢いよく開いて、息を切らせた男子が入ってきた。


弓道部であろうか。
袴・・・みたいなものを着ていた。


「・・・ハアッ・・・やっぱり・・・ここにいた・・・!!」


「あ、西崎。」


「あ、じゃねーよ!!お前今日練習試合だって言ったろ!!」


・・・!!


練習試合・・・?!


「・・・忘れてた。」


「嘘つけ!!今朝、今日は早めに部活来いよって言っただろ!!」


「・・・悪い。」


・・・もしかして佐藤くん
弓道部・・・。


「・・・ったく。」


そう言うと西崎くんは私を見た。


「あ、もしかして、崎原さんこいつに用事あった?」


「あっ、ううん・・・!!
日直手伝ってもらったの。」


「本当?ならこいつ、ちょっと借りていい???」



「あ、うん。いいよ。」



やっぱり部活入ってたんだ。


・・・悪いことしたな・・・


「崎原さん。」


「え?」


「悪いことしたな、とか思ってるでしょ。大丈夫だから。」


「でも部活・・・」


「俺が好きでやったことだから。気にしないで。」


そう言って西崎と一緒に、部室へと走っていった。