またその場が静かになった。
「「えっ…?」」
私と陽くんの声が重なった。
どういうこと?
私の頭の中は混乱していた。
「麻美が何でここにいるんだよ…。」
「亮くんこそ…。」
2人は、知り合いみたいだった。
「お前…。俺の前から逃げたくせに。」
河瀬さんが悲しい瞳になった。
「…違うの。亮くんが…。」
「俺が何だよ。」
「女の人と歩いてたの見たの。…だから。」
「麻美以外の女と歩いたことない。たぶん…それ姉貴。」
「えっ?お姉さん?」
「俺たち、年子だから。」
「そうだったんだ。」
「「……………。」」
私達はただ呆然としていた。
でも、私達の前では、仲直りが始まっていた。
「井端。頼む!麻美のこと、諦めてくれ!」
そんなことを考えていると、河瀬さんが言った。
「……麻美はそれでいいのか?」
陽くんがそう聞くと、麻美さんは頷いた。
「じゃあ、婚約は破棄だ!」
「ありがとう、井端!」
私達の前のカップルははしゃいでいた。
「…セイナ…ごめん。頼む。帰って来てくれ。」
陽くんが私に向き直って言った。
そんなこと考えなくても答えは決まってる。

