「大丈夫だよ、セイナ。」
皆が出て行った後に、陽くんが優しく言った。
そこで私の意識はなくなった。
たぶん…疲れていたからだと思う。
私は夢を見た。
陽くんが他の女の人にキスをしていた。
怖くて涙が出てきた。
「陽くん…?」
私が夢の中で呼ぶと陽くんは振り返ってくれた。
でも、悲しみに満ちた目をしていた。
「ごめんな。…セイナ。」
「イヤ!行かないで!」
「おい!セイナ!大丈夫か?」
陽くんに体を揺らされて私は起きた。
頬を涙で濡らして。
「陽くん?」
「どうしたんだよ。」
私は起きて陽くんにキスをした。
存在を確かめるように。
「どうしたんだよ。いきなり。」
そう言って陽くんは笑った。
お願いします、神様。
今の幸せを奪わないで。
私から陽くんを奪わないで。
この夢が正夢になりませんように。
あんなに願ったのに…。
神様は私のことが嫌いなの?
私から両親、友達、全てを奪ったのに…。
お願いします。
陽くんを奪わないで。
何でもするから。
世間も道徳も何でも捨てるから。
神様。
お願いします。