私がそう言うと、陽くんの眉がピクリと動いた。



「全部食べてくれたら、抱きしめてあげよう。あ~んってしよう。私の箸で。間接キスだ!明日頑張ろう。」




そこまで言うと、陽くんは悔しそうに言った。


「本郷にセイナの初めてとられる。間接キス?抱きしめる?許さない!セイナ、今夜の飯お前が作れ!」



陽くんが力強く言ったから、少し私も意地悪した。



「無理しなくていいよ。雄也くん、私のお弁当食べたいって言ってくれたし。」




陽くんの表情が暗くなった。




「ごめんね?ちょっと意地悪しすぎた?陽くん?」



陽くんからは全然反応がなかった。



「陽くん?こたえてよ。陽くん。私のこと嫌いに…。…うっ、…ひくっ。」




私は涙が溢れてきた。私が泣きだしたことにびっくりしたのか、陽くんが私を見た。



「イヤッ。見ないで。…うっ。…っ。」



陽くんは下を向いた私の顔を見て言った。



「イヤ、違うんだ!セイナ、泣くなよ。俺、今…妬いたんだ。本郷に。」



えっ?びっくりして陽くんを見ると、顔が真っ赤だった。



こんなに可愛いのに組長だもんな。