「セイナ、こっち向けよ。」 私はさっきの自分の行動が今更ながら恥ずかしくなった。 「セイナ~。こっち向けって。」 私は無理矢理、陽くんの方を向かされた。 「セイナ、ありがとう。」 「何が?」 「こんな俺と一緒に居てくれてることが。だって、俺ヤクザだから。」 「…関係ないよ。私を闇から救ってくれたのは、白馬の王子様でも誰でもない。」 私は真っ直ぐ陽くんを見た。 「今、私の目の前にいる井端組の組長。井端陽なんだよ?」