「……」


けど、息が詰まる生活だからこそ心落ち着かせる楽しみもあった。


勉強と稽古が立て続き、精神的に疲れた時、こっそり城を抜け出す。


自分の意志でできる、唯一の行動だった。

全てにおいて、大人の目を気にしながら生きてきたから。




表の正門は警備が厳重だけど、城の外壁に非常時のために作られている裏口は、門兵がいなくなる時間帯がある。


常に外敵に備えてはいるが、その裏口は、城の者の中でも王族と代々の家来にしか知られていないからだ。