「どこかに出掛けるの?」



「ちょっとヤボ用で」



「お願いがあるんだけど、これ雅也の居る病院に届けて来て欲しいのよ」



「は?」



「雅也、当直で帰れないから着替えが要るみたいで、今さっき電話がきたの」



「何で俺が兄貴の荷物届けに行かないといけないんだよ。お袋が行けばいいだろ」



「今日はダメなのよ。大事なお客が来るから家空けられないの。恭也お願い」



「無理無理、俺それどころじゃないから」



「困ったわね」